「SNSの功罪の功の部分をフル活用しなきゃ」と思わされる本でした。
佐々木俊尚さんて方は、前に「村上隆のエフエム芸術道場」に出演されたのを聞いて知った方ですが「すごく為になるなー」という発言が多くて本とか結構読ませてもらってます。
で、今回の本は、これまでにないくらい文体が柔らかいのが特徴でした。こちらに語りかけてくるような読みやすさ。いつも以上に読者に伝えたいんだろうな。という思いを強く感じました。
そしてそんな本の内容は「なるほどなー」「一理あるなー」のオンパレードでした。
インターネットとかSNSとか「個人情報が危ない」と叫ばれるようになった昨今ですが、「危険」以上に「便利」なことがいっぱいあるので「みなさん個人の情報をある程度は公開して、そんな便利の恩恵を一身に浴びましょうよ!」って内容です。
以下「ほほーう」と感じたことをダラダラ書きます。
曰く現在は「総透明社会」なんだそうです。Facebookなどで日常を発信しまくってるので、みんな秘密のない世界。「となりは何をする人ぞ」なんてのは昭和になってマイホームが普及しだしてからとかなるほどね。です。
そうして核家族化が進んで、鍵っ子とか経験した日本社会は、こんどは逆に「監視されたい社会」みたいになったとか。
ネットの各種サービスどころか、現実世界のシェアサービスがどんどんフェイスブックアカウントで登録になってきているので、個人の過去の歴史が全部明るみになってしまうフェイスブックは普段から悪いことができない。つまり黒歴史が作れないってわけなんです。
「初めまして」の人でもFacebookを見れば、どんな友達とつながっていてどんなニュース記事に関心があって、どんな日常を送っているかが瞬時にわかってしまう。そんなわけで、アメリカなんかではテレビやマスメディアが普及して犯罪の報道とかバンバンされたせいで「他人は危険」だった社会が、他人を信頼できるようになってきてるらしい。
Facebookが人間関係のインフラになると、みんなお互いにゆるーく監視し合ってる状態になるので、悪いことがしずらい社会になるわけなんですね。これはいい。
でも、日本でFacebookが今以上に浸透するのかしら?なんてことも思いました。一般人がネット上に個人情報を洗いざらい公開するまでにはもう少し時間がかかりそうな気がします。今の若い人たちは、SNSの恩恵を受ける前に疲れを感じてるようですし。
そして、シェアとかの前に起こるのはバカッター探しだろうなー過去の記録から水商売とかの経歴を洗われて採用が取り消しになったり。
つまり、この本に書かれてるようなSNSでシェアなラブアンドピースな世界はその後にやってくるのかも?
あ、これが小泉元総理が言っていた「痛みを伴う改革」か!と、10年経ってやっと理解できた感じがしました。