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美ってなにかを考えさせられる小説「モンスター」

本の感想

本当オトコってのは表面ばっかり見ちゃってゴメンなさい。

って思っちゃう内容でした。 

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

 

崖の上のポニョを歌う大橋のぞみちゃんの後ろにいる、藤岡藤巻は昔まりちゃんズってバンドで「ブスにはブスの生き方がある」って歌を歌っていて「目鼻の配置の気まぐれが君らをぶすにした」ってフレーズがあります。少年時代ぼくは大爆笑しながらこのフレーズを聞いてましたが、この本では「目鼻の配置の気まぐれ」について真剣に考えてしまいます。(まりちゃんズがひどいって話ではないです。彼らの世界観はある種天才的です。)

田舎町でしゃれおつレストランを経営する美人店長の美帆さんは、昔はえげつないほどのブスで、今の美貌は風俗で稼いだお金で美容整形を繰り返して手に入れた人工的なものだった。というお話です。

そして、苦労して手に入れた美を引っさげて生まれ育った町へ戻ってきて、子どもの頃片想いしていた男の子に再開する日を待っている。

待っているのだけど、この表紙とタイトルです。淡い恋心を成就させるために待ってるわけではないんですね。おお怖い。

読みながらずっと考えさせられるのは「美って何よ?」ってことです。主人公の美帆さんはその容姿のせいで何事に関しても皆と同列に扱ってもらえず、世の中の自分への仕打ちから性格がひねくれていき、人間関係がうまく作れず、仕事もままならない青春時代を送ります。仕事が選べないので豊かな生活も送れない。その全てが自分のルックスのせい。そんなことを考えながらこの世の全てを憎みながら、一人寂しく生きていくんです。それが、美容整形に出会ってから自分に自信がつき、皆に愛されるようになりながら、少しずつ性格が変わっていくってわけなんですね。

つまりよく言われる「ブスは性格が悪い」論が直球で描かれてあるんです。そうれはもう、爽快なほどに。「すげーなー」って思います。

そして、物語中盤以降の美人になってからの美帆さんに言い寄ってくる男たちのアホっぷり。そんな男達に美帆さんはこれまで自分が受けてきた全ての屈辱と憎しみをラッピングしてプレゼントしていきます。

この壮絶な物語が、すべては顔の表面の薄皮一枚の造形で左右されてるっていう事実。

美の本質を見つめるのって、本当に難しいですね。

この小説、映画にもなってるんですね。こんどレンタルで探してみようっと。


映画『モンスター』予告動画 - YouTube