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鹿の王はファンタジー好きにはたまらないご馳走でした

「忙しい自慢」をしても全然すごくないのはわかってるんですがついぼやいちゃいます。仕事と育児で毎日終わってます。毎晩働く夢を見て、こないだなんか大学生に戻ってウキウキしながら画材抱えて通学する夢見ちゃって朝からホロリとしてしまったぼくです。

そんなぼくですが、昼休みにちょっとずつご飯食べながら読んでた鹿の王を読み終えました。時間に追われてなるものか。時間は自分で管理するものだ!というわけでおもしろかったー!

精霊の守り人獣の奏者もアニメで見たぼくですが、読んでて感じる世界観は同じ印象でした。あの雰囲気が好きな人はたまらんです。

物語の主人公ヴァンは、人生に絶望して、それでも自ら命を絶つことは弱者のすることだ、という価値観の戦士が集まる集団「独角」の首領です。戦に敗れて仲間は全滅し、自分は奴隷になっても自ら命を絶つことなく鉱山で奴隷ライフを送ってます、というスタートです。

そんなある日、謎の猟犬の群れに襲われ噛まれます。噛まれた周りの奴隷は次々と死ぬのですがヴァンはなぜか死にません。死なないどころか未知の力を身につけます。おれ一体どうしやったの!?と戸惑うヴァンですがとりあえず鉱山から逃げます。

逃亡の道すがら自分と同じようにこの地獄から生き延びた小さな赤ちゃんを見つけ養子にします。二人の運命はいかに?

というところで舞台が切り替わり、国の中枢で医学に精通したもう一人の主人公、若き天才ホッサルの登場。この国では医療と宗教はセットになってて、死に至る病はある種神のお告げ的な「人間にはどうにもできんのだよ」という扱いになってるところに、天才ホッサルは疑問を抱いています。すべからく病気に原因があって、いつかすべての病気を治してやる、という壮大な夢を抱えてます。しかし、それは一方で「神の御意志によって死ぬ定めになったものを救う」という異端の思想。

物語は、謎の犬が撒き散らす謎の疫病から生き延びたヴァンと、その疫病をなんとかとめたいホッサルのエピソードが互いに交差しながら進んでいくわけです。

そこには国の政治の思惑やらそれぞれの部族の思想やら人の信念やらが複雑に絡んできます。まるでガンダムの物語のようです。モビルスーツは出てきませんが。 

乙嫁語りのような風景を思い浮かべる世界観の中に、現代社会の国同士の政治経済やテロ行為の風景が見え隠れしつつも、冒険ありの友情ありのラブロマンスありのフルコース感です。

屈強な戦士のヴァン編は王道ファンタジー。天才医師ホッサル編は政略もの。みたいなコントラストのリズム感がぐいぐい引き込んでくれます。んで二人が出会うあたりからが最高に面白かった。

いい話でしたー。