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岡崎京子さんの絵で思わず手に取ってしまった「ドルフィン・ソングを救え!」でした

本の感想

表紙にこの絵を使うのはちょっとズルいですよね!「なにか1990年前後をテーマにした壮大な物語に違いない!」て思わされますよね。というわけで読みました。

ドルフィン・ソングを救え!

ドルフィン・ソングを救え!

 

物語は2019年の日本から始まります。これまでの人生をサブカルに捧げてきてしまった結果「45歳フリーター」という称号を得た主人公トリコは、自分の人生に愛想をつかして自殺しようとします。しかしなんでか平成元年にタイムスリップしてしまうところから始まります。

んで、「自分には使命があるのでは?」とサブカル的想像力で、当時トリコが愛してやまなかったものの若くして命を落とした「ドルフィン・ソング」という「フリッパーズギター」をモチーフにした2人組の音楽ユニットの命を救うことを決心し行動を起こすって物語です。

トリコは、まずドルフィン・ソングに近づくために音楽業界に入ろうとします。そのために、2019年までに自分が得た音楽業界の知識をフル活用し1989年に「音楽業界を先読み」する記事を書くライターとして成功していきます。すこしずつ音楽業界で顔がきくようになっていくトリコ。人生をやり直して職業と財産を得たトリコは果たしてドルフィン・ソングを救うことはできるでしょうか!?というお話。

2019年に45歳ということは、2015年は41歳。なにかと話題のアラフォー・ロスジェネ世代ですね〜。もう本当に、いろんな物語で描かれるこの世代の主人公は悲壮感に溢れていますよね。

ところで、ぼくはもうすこし下の世代なんですが「今のまま1989年に戻りたいかな?」と自問してみると、あんまり戻りたくないかなぁ…。って思います。小さくて軽いスマホタブレットで自由に漫画や雑誌、ゲームに音楽を手に入れて楽しく暮らせていますからねぇ。地図を片手に街中をウロウロしたり、待ち合わせに気を使ったりするのももう嫌です。

ぼくの上の世代の方は、あの頃に戻りたいのかしら?バブルが崩壊しつつも、そのことに誰も気づいていなかった狂乱の時代ってやつですよね。

この時代ってのが、ぼくははっきり記憶にないんですよね。出てくる描写が断片的に自分の記憶とリンクはするのですが「24時間戦えますか!?」というリゲインのCMとか、「B.B.クイーンズ」や「たま」が町中に流れていたのとか、なんか懐かしかったです。

そんなことに思いを馳せているときにふと思ったのですがこの頃の時代のイメージと、昨今話題のハロウイーンのお祭り騒ぎのイメージって、なんかリンクしますね。現実はとりあえず置いといてのお祭り騒ぎに乗っかる感じ。そういう考えると「常になんかウキウキした世の中」を知らない世代の「限定お祭り騒ぎの日」がハロウィーンなのかもしれないな。なんて思えて、「少々の粗相は目をつぶってやらないとかわいそうなのかもな?」とかちらりと思ったりしました。

あと、物語冒頭のトリコが自宅で自殺を図るシーンなんですが「豊かで何不自由ない生活を送れているのに希望がない」っていう感じの描写で、かなりシミました。

世代によって感じ方が大きく変わる物語かもしれないですね。というわけで、いろんな世代に是非感想を聞いてみたいなーって思わされた本でした。