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「漁港の肉子ちゃん」てタイトルは官能小説かとおもっちゃう!

表紙はクリムトだし!「洗濯屋ケンちゃん」みたいだし!

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

 

とてもとても有名な「ありのままで」ってフレーズは、世間で自分らしさをひた隠しするよりは、たくさんの人と接する都会を捨てて、山奥で自分らしく生きていくことの素晴らしさを歌い上げた名曲ですが、同じように東北の漁港を目指した肉子ちゃんは、地方には地方の村社会があったりしても「ありのまま」を貫く38歳のマシュマロ系女子です。

人をすぐ信じてしまう肉子ちゃんはいままでいろんな男性に騙されて生きてきました。舞台となる東北の漁港を目指したのも男を追ってです。

思ったこと深く考えず口にするし、食べたいときに食べるだけ食べ、身なりも他人の目を気になんてしない。おならもしたいときにする。清々しいほどに「空気を読まない」肉子ちゃんには、喜久子ちゃんという聡明な美少女の娘がいます。

物語は 「キクりん」とみんなに呼ばれる喜久子ちゃんの一人称で綴られます。年頃のキクりんは最近ちょっと肉子ちゃんがうっとおしい。

「空気を読まない」は場所とタイミング、相手を選べば「天真爛漫」です。東北の漁港で焼肉屋を営む「うをがし」にとって、突然現れた肉子ちゃんはぴったりの「看板娘」で、住み込みで働かせてもらうことになります。書かれている文字情報だけを追って肉子ちゃんを想像しても「直視はできそうにないおばさんだな」と思わされる(肉屋で働くぽっちゃりな女子なので「肉子」ちゃんです)容姿なのですが、それがなんかやけに清々しい。そして肉子ちゃん自体がとても幸せそうなんです。

なんだか、ひとの目を気にしながら生きてることが馬鹿らしくなってきます。

キクりんにも肉子ちゃんにも、結構ハードな過去があって、それは本を読み進めていくと語られていきます。そんな過去と、現在の「地方に行けばどこにでもありそうな現地の人たちの日常」のギャップ。そこで幸せを見つけていく親子の日常にほろりとしないわけにはいきません。

「ありのまま」っていいかもなぁ!

って思わされます。

でも、やっぱ他人に「かっこいい!」とか「センスある!」とか言われたいんですよね、これが。