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「クジラの子らは砂上に歌う」を読んで普通に生きられる幸せを噛み締める

漫画の感想

自分って存在が「その他大勢」じゃなくて「特別な何か」になりたいと強く願うのが10代の青春スーツを着ていたころの甘酸っぱい思い出なのですが、野原ひろしが勝ち組に思えちゃうくらい 「普通ってすでに幸福なんだな」と染みちゃうのが21世紀の今日この頃ですね。

そんな、部屋でまったり漫画読む幸せを噛み締めながら、登場人物たちの幸福を願わずにはいられない漫画がコチラですよ。

一面が砂に覆われた世界で、「泥クジラ」という自動でさまよってる巨大な船の上で暮らす人々の物語です。ここの住人の大部分はサイミアという魔法が使えます。彼らは物資は少ないながらもサイミアを使うことで日々を質素で平穏に暮らしています。しかし彼らサイミア使いはちょっと特殊なところがあって、みんな30歳になるまでに死んでしまうんですね。

短い人生を、泥クジラの船上で、質素ながらも笑顔のたえないものにしながら生きていく。そんな日常を記録して後世に残す係の少年チャクロは、ある日泥クジラに漂着した「外の世界」の女の子との出会いをきっかけに、自分たちが「罪深き人種」で「滅ぼさなければならない対象」だということを知ります。

あー、やばいですこの展開。

外の世界の少女リコスの登場以降、平和で牧歌的だった物語は、謎の軍隊の侵略を受けて、生死をかけた戦いの物語になります。狭い船の上で、30年にも満たない質素な天寿を全うする。その望みを遂げるための、少年少女たちの決死の突撃が泣けます。この戦いに勝っても、彼らは30歳になる前に死んじゃうんです。だからこそ「今のささいな幸せ」がとても貴重なんです。そんなこと想像したらまた泣けます。

彼らはいったい何者なのか、泥クジラってなんなのか、生まれながらに背負った罪ってなんなのか?

今すごく続きが気になってる漫画です。ぜひ一緒に泣きましょう。レッツ涙活。