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これどこまでフィクション?日本大丈夫??って思っちゃう「ガラパゴス」

 娘の昼寝に付き合いながらパラパラめくり始めたらどっぷりはまって昼寝から起きた娘も好きに遊ばせながら読んでしまった危険な本について語りますよ。

ガラパゴス 上

ガラパゴス 上

 

警視庁捜査一課で継続捜査を担当している田川さんが主人公です。田川さんは昔ながらの地道な足で稼ぐ捜査をモットーにしています。酒の飲み過ぎで肝臓を患いエリートコースからは外れて、迷宮入りした事件を「捜査は続けてますよ」と被害者遺族にアピールするために設置された島流し部署に配属されながらも、黙々とその腕で犯人を挙げ続けている凄腕デカです。

物語冒頭で田川さんは、身元不明の死亡者リストの自殺で処理されたファイルの中から、殺人と偽装の跡を発見します。自殺に見せかけて殺されたのは沖縄から希望を胸に上京したものの派遣で日本各地を転々とすることを余儀なくされた青年でした。いったい彼はどんな事件に巻き込まれたのか…。

もうこの主人公の田川さんの設定の渋さと、被害者の生前のエピソードの悲しさに物語から目が離せなくなります。

捜査を進めていくうちに田川さんに立ちはだかるのは、国産の自動車メーカーや家電メーカーと、そこで働く派遣労働者の実態と、日本の大手企業と警察上層部とのズブズブな関係です。

「ハイブリットカーは国家ぐるみの詐欺」

派遣労働者は現場では部品費として計上されます」

なんて言葉が飛び交いますが、いやこれ、どこまでが事実でどこからが物語なのでしょう?

上巻を読み終わりましたが、下巻が楽しみでならない今日この頃です。仕事がひと段落するまで我慢できないかもしれない…!

それにしても、どうしてぼくらはこんなにワークライフバランスを度外視して頑張るサラリーマン戦士の物語に胸を熱くさせられるのでしょうね?自分が強いられるのはなるべく避けたいのに。田川さん、奥さんもたまに登場するのですが、できた奥さんなんですよ。でも、この境地に達するまでにはものすごい葛藤があったと思うんですね。ずっと働いてて帰ってこない旦那。でも地方公務員だから書類上は残業のない旦那。

自分だったら嫌だ!と思いながら一方で「田川さんカッコエエ!」って思っちゃう。大体、多くの人が憧れるであろう「現場じゃなくて会議室でスマートにIT機器を活用する人」は敵役で描かれますよねー。

ちょっと考えたんですけど、平日遅くまで練習し、土日も休みなく頑張る中高時代の部活動をかっこいいと思う気持ちに根付いてるのかな?なんて思ったりもします。どうなんでしょうね?

蟹工船的な悲哀を感じる物語。あ、ジャズやブルースにも通ずるものがありますね。みんな苦労してるから、人一倍苦労する主人公にかっこよさを見出すのかもしれないですね。