【読書感想』『アンと青春』おちこんだりもしたけれど、私はげんきです…とか聞こえてきそうな物語

こんにちは。

今日は、大きな赤いリボンをつけて、女を美しく見せる黒いローブに身を包んだ魔女子さんのフレーズが聞こえてきそうな『アンと青春』の感想を書こうと思います。

和菓子屋さんで働く女の子の続編、和菓子のアンの続編です。 

アンと青春

アンと青春

 

 てなわけでネタバレ一切ご法度な方は、今日はここまでにしておいてください。(ラストまでは書きませんが)


高校卒業して、進学も就職もピンとこないマシュマロ体系な乙女のアンちゃんが始めた和菓子屋のバイトは、いい同僚に恵まれ、充実したものだったのですが、今回は、どんなに充実してようが、どんなに和菓子についての造詣を深めていこうが「私は所詮バイトなんだ」と悩むエピソードがメインとなっておりました。 

しかし、実はアンちゃんのことをすごく気に入った和菓子職人さんが出てくるんです。

そして「うちの店で働かないか?」とモーレツにアタックするんですが、しかしアンちゃんは、返事をずっと保留にします。

本当にバイトであることに引け目を感じるなら、すぐその店に就職すればいいんですよね。でもしない。

理由は、今働いてるバイト先の居心地がいいから。

そして根底に流れている「どうせ私なんか」な精神。

ああ、わかる…

ぼくも学生時代、とある飲食店でバイトをしていましたが、働ば働くほど、その店に帰属意識を覚えていくんですよね。

あれは危険だな、って思いました。そのバイト先でのやりがいが、そのまま今の自分の人生のやりがいになってしまいそうな感覚。

「絵を描きたくて大学生になったんじゃないのか!?」とふと我に帰り、途中でやめた覚えがあります。

そして「どうせ私なんか」な劣等感。

「そんなに卑下しなくても」というイライラと、「うんうん、わかるよ」と思わせる親しみが交互に読み手側に浮かび上がってくるのは、まさに揺れる10代女子の一人称語りって感じですね。(読んでるのは30代おっさんですが)

次巻はきっと自分に対して肯定感が持ててのハッピーエンドになるんでしょう!そんな予感しか感じられない物語でした。今から楽しみです。