平成ライダーとぼく その2(龍騎と555と剣)

こんにちは、りとです。

今回も前回に引き続き、平成ライダーシリーズそれぞれの「ぼくはここに痺れた!」というポイントについて書きます。気分は居酒屋で友達と楽しく語り合うイメージです。ぜひお酒をご用意ください。

前回、沖田 丈 (id:jou2)さんから「クウガの惨殺シーンが惨すぎたから、アギトは神の力で人にはできない殺され方が描かれた」という考察をいただいて、新たな気付きにドキドキしたぼくです。楽しいですね!楽しいですね!!

今回の記事も、

1、「今まで全く興味がなかったけど、ちょっと見てみようかという気になった」

2、「そうそう!そうでしたね!!懐かしい!!!」

という2パターンのいずれかの反応を期待しながら書きます。

情熱の赴くままに書きますので核心に触れるネタバレに触れる恐れがあります「ちょうどこれからみようと思ってたんです」って方は読まないでください。

また、大いに個人の主観が入りますので、痺れポイントには個人差があることをご承知おきください。

価値観がみんなバラバラだってことがわかって「正義のヒーロー」って言った時の「正義」の定義が定まらなくなった時代に「自分の正義」でライダー同士が殺しあう龍騎 

仮面ライダー龍騎13RID

仮面ライダー龍騎13RID

 

 これは監督さんがおっしゃってたそうなのですが「9.11テロ」とその後のアメリカの「正義の戦争」を聞いて「正義ってなにか問いたくなった」からできたのが龍騎らしいですね。

龍騎の物語では鏡の中に別世界があって、そこにはモンスターが住んでてたまに鏡から出てきて人間を食べてるって設定なのですが、そんなことはほっといて「最後まで生き残った者はどんな願いでも叶えられる」というライダー同士のバトルロワイヤルが鏡の中の世界で展開されるんですね。

主人公はたまたまライダーに変身できるようになって鏡の世界とこのゲームのことを知り、「おいおい殺し合いなんてしてないでみんなで協力してモンスターを倒そうぜ!」とはじめは正義の心で頑張るんですが、他のライダーたちの願いが切実さに自分の正義感が恵まれた境遇だからこそのものだと悩み始めます。

「単細胞な戦闘狂」とかわかりやすいライダーもいるのですが、「植物人間状態の恋人を助けたい」とか「余命を宣告されてる自分の体を治したい」みたいな人が混じってて、まさに「正義の価値観は人によって違う」ことをまざまざと見せつけられる展開に痺れます。

ネットの普及でみんなの意見が全然違うってことが可視化され始めた頃で、趣味が多様化して「国民的」みたいなものが言いづらくなったころでした。国によって文化や歴史が違うから、意思の統一って難しいんだなってのもわかりだした頃でした。「勧善懲悪を描くことができない時代になったのだな」と思いました。

と同時に、13人のイケメンが組んず解れつ殺しあう様は、友人の腐女子の皆様方が一斉に騒然となりました。

龍騎の痺れ指数:痺痺痺

大学卒業しても安定ルートがなくなった時代を痛烈に比喩した555(ファイズ

 当初「原点回帰のライダー」とか銘打ってる記事を見かけましたが嘘ばっかりでした。攻めに攻めまくってる内容に、痺れまくりました。

謎の感染症みたいな症状が蔓延してて、夢いっぱいで普通に生活してる人が不慮の事故で死んだりすると「オルフェノク」になって復活するって敵の設定でした。

555は「ファイズギア」ってベルトでライダーに変身するのですが、資質を持った人なら誰でもライダーに変身できるんです。なので、ベルトの奪い合いが描かれるのですが、実はオルフェノクが変身できるってオチなんですよね。

このオルフェノクのデザインが本当に秀逸でして、全身灰色なのです。一度死んだ人間がオルフェノクになるわけですから、いわばゾンビです。灰色の姿で社会生活が送れなくなったオルフェノクは、「廃人」なんて言葉がちょうど浸透してた当時を皮肉してるように見えますし、「大学卒業すれば大手企業で人生安泰」という夢が潰えた不景気の時代に、個性を殺すグレースーツで就活する大学生にも見えるんです。 

 そんな中、やけに派手なデザインのライダー。「555」と描いて「ファイズ」と読むわけですが「Φ」という記号もデザインのモチーフになっています。

これは、夢いっぱいの安定人生レールから一度落ちちゃった無個性な廃人の中から「世界で一人だけの自分を証明する記号」という一発逆転カードを奪い合うって図式の比喩にも見えてきます。ここが肝な気がします。

 なんて深い…深すぎる555の設定…!!

そしてぼく、この番組やってたころリアルタイムに大学卒業してフリーターやってたのでシンクロ率がやばいです。

ファイズの痺れ指数:55555555

給料をもらうライダー剣(ブレイド

 龍騎と555で「正義の味方が守るべき満場一致の正義ははもう存在しません」って宣言をしたライダーシリーズが「じゃあなんのためにライダーは戦えばいいのよ?」という問いに答えたのが「仕事として給料をもらうため」に戦う剣です。この物語で仮面ライダーはSWATみたいな組織として描かれます。なるほど!って思いました。

すごい設定でした。

銀行口座に給料が入ってるかどうかを気にしたり、ライダーが戦う時に乗り回すバイクにガソリンスタンドで金を払って給油したりする姿が描かれたのは剣だけだった気がします。

これが決してギャグじゃないところに痺れます。

主人公の剣崎くんはいわゆる「正義感」のためにライダーやってるのですが、先輩の橘さんがやばいんです。ブラック気味の労働環境や、ワークライフバランスについて悩んで壊れていきます。新入社員の剣崎くんは、ちょっと先輩の橘さんが鬱になっていく姿に社会で働くことの理想と現実を垣間見るのです。リアルすぎます。思い返せばサラリーマンも「企業戦士」という名の戦士ですね。見てて泣きそうになります。

そしてラスボスは社長なんですが「君たちは夢を持ってこの職を選んだじゃないか!?」的な(もうちょっとヒーローモノっぽい言い回しですが)、給料の低さや労働環境の悪さを、社員の「やりがい」に語りかけて煙に巻こうとする、なんていうかもう「先取りしすぎでしょ?」って感じに、社会のいろんなモノを見てしまった今思い返すと痺れまくります。

剣の痺れ指数:痺痺痺痺

2000字を超えて疲れたのでここまでにします。

楽しんでいただけたらまた書きますね!では!