昨年の夏以降、なんだか小説が読めなくなった時期がありました。
なので、このブログの三本柱の一本といっても過言ではない読書感想記事があんまり更新されてませんでした。
とか突然言われても、いつもダラダラと書いてるので「え?そうなの?」と思われた方がほとんどでしょう。
個人ブログなんてそんな読み方で良いのではないかと思っています。
少なくともぼくのブログはそれでOKです。
面白いことに、小説は読めないんですが、実用書とかは読めるんです。
小説の世界にこう、どっぷりと浸かれないっていうか、ぼくは普段から本を持ち歩いていて、数分の隙間時間でもパラパラとめくって昔から小説を読んでいたので「これはなんなんだろう?」とか思ってた時に「そういえばなんかめっちゃ売れてる本があったよな」とか思い手に取ったのが三宅香帆さん著の『なぜ働いてると本が読めなくなるのか』でした。
相当話題になった本なので、ブログを嗜むような方は内容もご存じの方も多いのではないかと思うのですが、この本で繰り返し引用されるのが、『花束みたいな恋をした』という映画でして、文化系の趣味で意気投合した大学生カップルが、大学を卒業し、就職すると趣味の時間が持てなくなり心が離れていくっていう、あらすじを聞いただけでもう趣味のために生きようと日々もがいてる心を挫かれてしまいそうで「観よう観よう」と思いながら観られずにいる映画なのですが「あんなに趣味で人生を彩ってた人が、働くと死んだ目でスマホばかりを見るようになってしまうのはなぜか」という問いを出発点にこの本は書かれていきます。
面白かったのが、著者さんにとって趣味が本だったので「本が読めなくなるのか」と銘打って、明治時代くらいから、人と本の関わり方について分析されていきます。
これは、日本の近現代史として読めてとても面白かったです。
そして終盤になってくると、「本」の部分を読み手の「趣味」と置き換えながら読んでいくこともできるようになっていきました。
社会に出たばかりで「あれ?学生時代にあんなに楽しんでた趣味が全然できないぞ?」って方が読むと、とても良い本だなぁと思いました。
でもなんか「小説の物語がさっぱり頭に入ってこないけど活字が読みたい」って今のぼくの状態にもちょうどよかったな、とも思いました。