去年の秋くらいから小説の物語が頭に入ってこない期を迎えていたぼくなのですが、新年を迎えたあたりに「短編集なら読める…読めるぞ!」と気がつきました。
そんなこんなで久々に一気に読めたのが青山美智子さん著の『赤と青のエスキース』です。
ちょっとだけあらすじを書きます。
物語は短編集の体をとってるんですが、どのお話にも「エスキース」というタイトルの絵が登場します。
最初の話は「エスキース」が描かれるところが語られるのですが、それから持ち主や時代、場所を変えながら、その時々の「エスキース」に関わる人を主人公に物語が進んでいって、最終話では…って感じで終わるんですが「ああ、ええ話やなぁ」と思いました。
ぼくもアナログで絵を描いたりもするんですが、絵って意外とずっと残りますよね。
我が家のロフトの最奥には、ぼくが小学校1年生の時に描いて、図画コンクールで賞をもらった「ああ自分は絵を描くのが好きかもしれない」と自覚した絵が眠っているのですが、どうということのない画用紙でも、かれこれ40年前のものになろうとしています。
他にも学生時代に描いた絵も何枚もありますし、ぼくみたいな休日に趣味で絵を描く程度の人間ですらこの有様です。
歴史に名を残すような偉大な画家は数百年単位で作品が残りながら、新しい人の目に触れ、見た人ごとにドラマを生み出していってるわけですから「絵ってすごいなぁ」と語彙力をなくしてしまいます。
ところで、ぼくは美大で絵画を専攻したのでこうやって作品を残すことができているのがよかったなと思っています。絵は、なんなら描き上げた後にカンバスから剥がすことで、本当に紙一枚にして隙間に保管できてしまいますからね。
彫刻を専攻した友人は「場所がない」って嘆いてました。