かつてのカラオケの十八番は今や黒歴史、そんな過去を消せたら…と考えさせられる小説「記憶屋」

今週のお題「カラオケの十八番」

こんにちは、週末の追い込みから休日の家族サービスのコンボを華麗に決めるりとです。絵を描く時間が取れないので今日はまんがはおやすみです。ごめんなさい。もう10センチほど首を長くしていてくださいね。

今日は箸休め的に今週のお題について語ります

学生時代ぼくはミッチーに心酔してました

以前ブログに書いたことがある通りぼくは高校時代にミッチーこと及川光博さんにどっぷりでしたので、一生懸命布教活動に励んでおりました。

当然、カラオケで熱唱するのも彼の曲で、まわりが「え?だれ?あ、あの王子とかベイベーとか言ってる人?」みたいな感じでも、かまわずPVを見まくって、覚えたダンスを交えて歌っておりました。今では俳優さんのように思えますが、当時は羽生結弦クンみたいな衣装で歌番組に出まくってたんですよね〜。

 


及川光博 - レッツ・ダンス~死んでもいい'98

これとか


[PV] Oikawa Mitsuhiro - Mikka Tsuki Hime

これとかぼく熱唱です。

社会に出たての頃もまだ引きずってて、当時の上司や先輩と飲みに行った二次会とかでカラオケに行ったら調子に乗って歌いまくってて、その後今の奥さんと出会ってぼくは「知的なおしゃれキャラ」で売っていくように路線変更したのに、いまだに当時の先輩たちに会うと「あ、ミッチー」みたいな感じで言われます。

忘れてくれ!!

忘れたい記憶を消してくれる怪人の物語

そんな最近読み終えたのが「記憶屋」という小説でした。 

記憶屋 (角川ホラー文庫)

記憶屋 (角川ホラー文庫)

 

面白かった、というか考えさせられるようなお話だったので、後半はこの本のお話をします。以下、話が面白くなるあたりまでのネタバレが含まれますのでお気をつけください。

大学生の遼一くんは、大学で情報の伝達手段とかそんなことを研究しているのですが、都市伝説の広まり方について触れる機会がありました。そのなかで、「記憶屋」という怪人の話がでてきて、「消してもらいたい記憶を消してくれる」っていうものだったんですね。

最初は信じていなかった遼一くん。

彼には気になる先輩がいました。杏子さんという一個上の彼女は、普段はとても元気で活発な女子大生なのですが、昔痴漢にあったトラウマからどうしても夜8時以降外に出られない心の病を抱えています。

遼一くんはトラウマ克服に協力する形で杏子先輩と急激に距離を縮めていくのですが、どうしても「恋人同士」になる一歩手前で先輩のトラウマが2人の間を阻みます。

ある日、突然杏子先輩はトラウマを克服します。でも同時に遼一くんのことを忘れていました。

そうなんです、「克服」ではなく、トラウマも、これまで親身になってくれた後輩の遼一のことも、すっかり忘れてしまっていたのです。

という冒頭です。

物語は、杏子先輩にどうにかして自分のことを思い出してもらいたい遼一くんが、都市伝説にすぎない記憶屋を追って奔走する展開になります。

その中で登場する、いろんな消したい記憶と戦う登場人物たちと、そんな人々が抱えているそれぞれの事情が複雑に絡みます。

遼一くんのスタンスは、「記憶は人格形成の欠片の積み重ねだから全部抱えて生きていくべき」「つらい過去も乗り越えるべき」というものですが、状況が変わればそうも言ってられないって状況の記憶を抱えた人たちに出会っていきます。

そして果たして遼一くんは、記憶屋にたどり着けるのか…杏子先輩の記憶は戻るのか…?

ぼくらは、思い出したくないような記憶を「黒歴史」なんて簡単に揶揄しちゃいますが、どう向き合うべきか、ちょっとじっくり考えさせられる、そんなお話でした。

ぼくも向合うかな、踊りながらミッチーを熱唱したあの頃を…。

ぐふー。